目の前の光景に絶望を感じながらも、なんとかライブを終えた綾たち。曲を聴いたこころは、しばらくその場から動けずにいた。一方で、無許可でのライブ開催という綾たちの身勝手な行動を良く思わない生徒会が、ライブ後の舞台裏に押し入った。そこで綾は、極度の緊張と疲労、精神的ダメージによって倒れてしまう。
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「綾さん…っ!!!」
倒れ込んだ綾に、麻央と唯が真っ先に駆け寄る。勢い良く怒声を放ったミヲは、突然の出来事に動揺を隠せないでいた。
「あの、すみません。お話はまた後日お願いします」
唯にそう言われ、ミヲは渋々その場から立ち去ることにした。
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「あ…れ……?」
目を覚ました綾の視界へ最初に飛び込んできたのは、真っ白な天井だった。綾は、自分が保健室のベッドの上に寝ているということを理解するのに、少しの時間を要した。
「綾…!」
そう声を上げたのは、こころだった。彼女は泣き出しそうな、それでいて少し怒ったような表情をしている。
「こころちゃん…。私、どうして…」
「倒れたのよ。私もその時その場にいたわけじゃないから、詳しいことは二人に聞いて」
そう言って、こころはすぐ側に立っている麻央と唯に視線を向ける。
「麻央ちゃん、唯ちゃん」
「綾さん…っ! ごめんなさい、私…っ」
麻央はそう言いながら泣き崩れたが、まだ状況を把握できていない綾には、何のことだか分からなかった。
「どうしたの?」
綾の問いかけに、唯がライブ後に起きた出来事を洗いざらい説明した。
「そっかあ」
事の一部始終を聞き終え、綾はため息にも似た声を漏らす。そして自分を見舞ってくれている三人の顔を見回して、こう言った。
「じゃあ、今度はちゃんと許可を取ってからライブしようね!」
キラキラと瞳を輝かせる綾に、三人は面食らう。倒れてしまうほど極限状態だったはずの彼女が、誰よりも前向きだからだ。
こうして、 “フラワーズ・ヒル高校アイドル部”は再スタートを切った。
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