生徒会長・ミヲに対し、綾はスクールアイドル部の正式な設立を直談判する。それを受けたミヲが提示した最低条件は「部員を五人集めること」。そこで綾はミヲを勧誘し、自分たちの活動の見学を勧めた。
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放課後。綾たち四人は、いつも通り練習のため屋上へと向かう。
「あら、ようやく来たのね」
屋上の扉を開くのと同時に、そんな声が聞こえた。見ると、そこにはミヲとすずが立っている。
「生徒会長…!」
「あなたが見に来いって言うから、仕方なく来てあげたわ」
「ありがとうございます」
「でも、あんまりにも遅いから、帰ろうかと思ってたところよ」
嫌味な人だ、と綾は心の中で毒づいた。そんな二人のやり取りに、すずは苦笑する。
「まぁまぁ、ミヲもそう怒らないで。せっかくなんだから、ちょっと見て帰ろうよ」
「…仕方ないわね」
ミヲのすずに対する信頼は厚く、それに救われる形で綾たちはアプローチの許可を得た。
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「ねえ、ミヲ」
「何?」
通学路に、下校するミヲとすずの影が伸びる。
「どう思った?」
「…さあ」
「私、あの子たちと一緒にやってみようかなー」
「馬鹿なこと言わないでよ」
ミヲはそう叱責したが、すずはそれに対してへらへらと笑うだけだった。
春風が、二人の髪と制服のスカートを揺らしていた。
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